フレスコジクレーについて
(Fresco Giclee)
はじめに
「FRESCO」は、「新鮮な」を意味するイタリア語で、ミケランジェロやラファエロはじめ、14~16世紀にイタリアで花開いたルネッサンスの芸術家が用いた「新鮮な漆喰」をベースにした絵画技法です。
「Fresco Giclee」は、この新鮮な漆喰を最新技術でシート化し、現代に「FRESCO」を復活させた世界発のアートワーク技法です。
原画を除いて、弊社でご提供できる平松礼二作品はこの「Fresco Giclee(フレスコジクレー)」を採用しています。「FRESCO」ならではの「自然で深みのある画質」と「長期の保存性」についてご紹介いたします。
フレスコジクレーの保存性
フレスコジクレーが保存性と耐光性を持つのは、漆喰の中に浸透した顔料の上に、未硬化の漆喰が空気中の二酸化炭素と反応して、石灰層を形成するためです。この石灰層がバリアーとなって、高い保存性と耐光性を発揮します。
ミケランジェロの「最後の審判」のように、フレスコ画は数百年にわたり色あせることがなく保存されているのは、
(1)消石灰[Ca(OH2)]の上に塗られた顔料は、未硬化の漆喰に浸透し、絵の具層を形成します。
(2)その後、消石灰[Ca(OH2)]は、空気中の二酸化炭素[CO2]と反応して、石灰石[CaCO3]に戻ります。
(3)生成される石灰石[CaCO3]によって、顔料絵の具が包含され、数百年に及ぶ保存性を発揮します。
漆喰とは
漆喰とは、平安時代から神社仏閣の建築材料として使用されてきた、歴史のある自然素材です。姫路城などの城郭建築などで使われ、白い漆喰壁が数百年に渡り、当時の構造体を保護し続ける非常に耐久性の高い仕上げ材の一つです。
漆喰の原材料は、鍾乳洞やカルスト台地で知られている白色の岩石で、石灰岩(CaCO3)です。石灰岩は、古代の珊瑚類が堆積して化石になったもので、自然素材です。
漆喰は石灰岩を焼いて出来た「生石灰(CaO)」を水と反応させ、乾燥させると「消石灰(Ca(OH2))」となります。この消石灰と水・糊などを加えて、壁などに鏝で塗り付けたものが漆喰となります。
古典的なフレスコ画
フレスコ画とテンペラ画
お手入れと保存方法
高い保存性がありますが、出来るだけ直射日光が当たる場所や、温湿度の変化が激しい場所に飾ったり、保管されないことをお勧めします。
漆喰は常時一定の湿分を含んでいるため、帯電し難く、汚れが付着しにくい素材ではあります。埃などが付着した場合には、柔らかい刷毛などで軽く掃ってください。
油汚れなどは除去しにくいため、油などが飛散する恐れのある場所に飾らないようにしてください。
壁に掛けるとき、吊り金具や額受け金具は、壁面の材質や構造に適したものをお使いください。
年に1~2度定期的に金具のゆるみやヒモの損傷・結び目を点検してください。